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2014年6月27日金曜日

奈良の庭園を巡る(2)依水園


 吉城園の隣に位置する依水園もやはり興福寺塔頭であった摩尼珠院(まにしゅいん)の跡地に開かれた庭園だ。吉城園とは吉城川(といっても小さな小川だが)とフェンスによって仕切られているが、元は一つの敷地であったものが「分譲」されたのだろう。依水園は国の名勝に指定されている。

 ここは「前園」と「後園」の二つに分かれており、それぞれ作庭された時代が異なっている。「前園」は寛文12年(1673年)に晒職人であった清須美道清の作庭で、茶室「三秀亭」がシンボル。「後園」は明治時代に実業家関藤次郎が築いた築山式の池泉回遊式庭園で、作庭は裏千家十二世又妙斎宗室による。寧楽の都をモチーフとし、若草山や東大寺南大門などを借景とする。いずれも大和川支流吉城川(よしきがわ)の水を引いている。海運業で財を成した中村家が1939年に買い取り、前園と後園を合わせた形に整備した。1969年には、中村家所蔵の美術品を展示するため、寧楽美術館を建設して一般公開している(Wikipediaからの引用)。

 依水園も敷地は奥深く、茶室や水車小屋があったり広い庭内を散策するのが楽しい。梅雨のこの時期は睡蓮や菖蒲が咲き誇る。何と言っても若草山や南大門を借景とした「後園」の雄大さが見事と言わざるを得ない。季節に応じて様々な花や新緑や紅葉を楽しめるお気に入りの場所だ。その割には観光客(特に団体さん)があまり押し掛けない静かな場所であることがさらにうれしい。

前園の睡蓮
三秀亭

赤白の睡蓮

若草山、春日山と東大寺南大門を借景にした後園